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 最終更新日
2009年6月9日
(見出しの下のコメントは、ユビランドによるものです)

特許関連ニュース

「明細書、特許請求の範囲または図面の補正(新規事項)」の審査基準の改定について 特許庁

H22年6月1日に審査基準が改訂されました。
今回の改訂では明細書、特許請求の範囲または図面の補正(新規事項)において「除くクレーム」とする補正について『平成18(行ケ)10563 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟「感光性熱硬化性樹脂組成物及びソルダーレジストパターン形成方法」平成20年05月30 日 知的財産高等裁判所』
(http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20080530152605.pdf)
において出された新たな判断基準と、今までの審査実務で行われていた判断との整合性を取るものです。

問題となった「除くクレーム」とは、請求項に記載した事項の記載表現を残したままで、請求項に係る発明に包含される一部の事項のみを当該請求項に記載した事項から除外することを明示した請求項をいいます。
特許出願の審査段階における補正であっても、あるいは特許付与後の訂正であっても、「新規事項を追加する訂正(補正)」は認められず(特許法17条の2第3項、126条第3項)、出願当初明細書等に記載した事項の範囲内において補正しなければなりません。

ここで請求項に「弾性体」という記述があったとします。それに対し、特許法29の2により「ばね」と記載した先願が見つかりました。この場合は本願明細書中に「弾性体はばね以外であると好ましい。」と記載されていれば、請求項を「ばね以外の弾性体」と補正できます。また、実施例中に弾性体はゴムと記載されていれば、この記載を根拠として請求項を「ゴム」と補正する事ができます。
しかし、根拠となる適切な記載や実施例が存在しない場合。審査実務では、たとえ範囲の減縮であっても、明細書中に何らかの具体的内容が記載されていない限り、このような補正は「新規事項」として拒絶されてしまいます。
しかし、審査実務では出願人保護のため、「弾性体(ただしばねを除く。)」というような記載への補正を認めていました。これがいわゆる「除くクレーム」です。

明細書中に具体的な根拠記載がない場合、審査実務においてこの様な取扱が為されていました。上記訴訟では、これに従い、特許権者は29条の2違反で無効とならないように、訂正で請求項を「除くクレーム」にしました。しかし審判請求人は、「そもそも『除くクレーム』は新規事項を追加する訂正であり、特許法違反だから認められない」と主張したのです。
しかし大合議判決では、明細書中に「弾性体によって、効果αが発揮される」と記載されていて特許になったのであれば、「ばね以外」という記載が出願当初明細書になくても、それらが効果αを発揮する範囲である限り、それらを除く補正や限定する補正も認められるとしました。発明の範囲が狭くなるだけですから、新たな技術的事項の追加でには該当しないという結論でしょう。

この大合議判決との整合性を図るために、今回審査基準が改訂され、
「補正前の請求項に記載した事項の記載表現を残したままで、補正により当初明細書等に記載した事項を除外する「除くクレーム」は、除外した後の「除くクレーム」が当初明細書等に記載した事項の範囲内のものである場合には、許される。」として「除くクレーム」とする補正についての一般的な定義や具体的な類型が追加されました。
これにより、請求項に係る発明が先行技術と重なるために新規性等(第29条第1項第3号、第29条の2又は第39条)を失う恐れがある場合。補正前の請求項に記載した事項の記載表現を残したままで、当該重なりのみを除く補正が審査基準を根拠に認められることになります。

 

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